NODA・MAP 第19回公演「エッグ」

IMG_4948.JPG
■日時:2015年4月18日(土)13:00 2時間15分(休憩なし)
■会場:北九州芸術劇場 大ホール L列
■出演:妻夫木聡、深津絵里、仲村トオル、秋山菜津子、大倉孝二、
藤井隆、野田秀樹、橋爪功 ほか

いつも難しい野田作品。
今回はなんとかついていけました。

「エッグ」というスポーツでオリンピックを目指す若者たちとその周辺、
的な内容でスタートするのですが、
途中から雲行きが怪しくなってきます。

東京の話かと思ってたら、舞台は満州だった。
これで、まずモヤーっとしてきますよね。

これを契機にいろいろ調べていると、
メインのテーマは、日本軍の人体実験「731部隊」。
そこに、円谷幸吉やアベベ、現代のSNSによる情報操作など、
伏線が張り巡らされていて、全部の理解には行きつきません。
きっと、何度も出てくる「水」のやり取りにも
意味があったはず。

また、英雄とはなんだろうという疑問も湧いてきます。
それまでのトップアスリート・ツブライ(仲村)に代わって
いきなり「エッグの聖人」に祀り上げられるアベ(妻夫木)。
「多数のためには少数の犠牲は肯定されるのか」という意味でも
カンバーバッチの『イミテーションゲーム』を思い起こすシーンも。

そんな、どす黒いお話を、妻夫木くんの脳天気な明るさが
前半では救い、後半では恐ろしさを助長します。
遊眠社の時に、野田さんが「役者が舞台を走り回って風を起こす」
と言ってた通り、役者さんたちフルに動き、しゃべり、
再演なので息もぴったり。

特に素敵だったのが、秋山奈津子さん。
燕尾服の女帝役で、周りを寄せ付けない美しさとオーラ。
とにかく色気があってかっこいい。
『THE BEE』の初演が秋山さんで、
あれは超えられないだろうのレビューを読んだことがあり、
再演では宮沢りえちゃんが演じてたわけですが、
年齢と経験値でその強さが圧倒的でした。

それと、深津絵里ちゃんの可愛らしいこと!
控えめで上品なイメージですが、今回はぶっ飛んだロッカー役。
それも歌うんです、椎名林檎の曲を。
これがすごくいい。歌自体が上手だし、声はきれいだしセンスがある。
あれ?深津絵里ちゃんて、歌手出身だっけ?と思った。
動けなくなったアベを残して満州を引き上げたかと思ったら、
1人戻って来て最期を共にするところはいくらか救われました。

あと、目が釘づけだったのが仲村トオルさんの胸筋!
え?女の人?と思うくらい、胸の筋肉が盛り上がってるの。
ボディビルダーのような腕&肩幅ではなくて、胸!です。
スーツの時はびしっとスマートに決まってるから
その中があんなことになってるとは!
去年のケラ作品といい、sasaの注目度確実にアップしてます。

オリンピックで4年ごとを一区切りのように考え、
オーナーが「4年後には忘れてるでしょ?40年後、400年後にはもっと」
みたいな台詞があって「都合の悪いことは忘れればいいのよ」への批判
が野田さんのメッセージであるとすれば、
この作品を観たことで、歴史を思い起こし、それを調べているsasaがいること、
それ自体が、メッセージを受け取っていることになるのではないか
と思います。